食中毒を引き起こす細菌やウイルスについて紹介します。
また、それぞれの特徴や症状などもあわせて説明します。
代表的な細菌やウイルス
サルモネラ菌
乾燥に強く、熱に弱いのが特徴です。
加熱が不十分な卵・肉・魚などが原因になります。
例えば、生卵・半熟卵・肉のタタキ・レバ刺し、などです。
食後6~48時間で発症するといわれています。
症状としては、吐き気・腹痛・下痢・発熱・頭痛などがあります。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌が作る毒素は熱に強く、加熱しても食中毒の予防ができません。
つけないように、清潔な手で調理しましょう。
人の皮膚や粘膜にいる菌です。
また、傷口などには多く存在するので、手に傷があるときは手袋を使うと安心です。
原因になりやすい料理は、おにぎり・お弁当・巻きずし・調理パン、などが挙げられます。
食後30~6時間で症状が出るといわれています。
症状は、吐き気・腹痛などです。
腸炎ビブリオ菌
塩分のあるところで増えやすく、真水や熱に弱い特徴があります。
生の魚や貝などが原因になります。
例えば、さしみ・すし、などで注意が必要です。
食後4~96時間で発症するといわれています。
症状としては、激しい腹痛・下痢などがあります。
カンピロバクター
乾燥に弱く、加熱すれば死滅します。
加熱が不十分な肉(特に鶏肉)や、飲料水・生野菜などが原因になります。
また、ペットから感染した例もあります。
例えば、中心まで火が通っていない鶏肉・十分に洗えていない生野菜・井戸水・湧き水、などに気をつけましょう。
食後2~7日の期間に発症するといわれています。
症状としては、下痢・発熱・吐き気・腹痛・筋肉痛などが現れます。
腸管出血性大腸菌
O157やO111がこれにあたります。
熱には弱いので、十分に加熱すれば予防できます。
加熱が不十分な肉・生野菜などが原因になります。
例えば、十分に加熱されていない肉・よく洗えていない生野菜・井戸水・わき水、などについていることがあります。
食後12~60時間で発症します。
症状としては、激しい腹痛・下痢などがあります。
血が混ざった下痢などの重い症状がでることもあり、亡くなることもあり得ます。
ノロウイルス
熱に弱いので、85℃以上で1分以上加熱すると予防できます。
カキなどの二枚貝を十分加熱せずに食べた場合や、ウイルスに汚染された水などを飲んで感染することがあります。
感染者の便や吐いたものから感染することもあるので、さわった場合は石けんでキレイに手を洗いましょう。
十分に加熱されていないカキ・アサリ・シジミ・といった食材は要注意です。
食後1~2日で発症するといわれています。
症状としては、ひどい腹痛・下痢などが出ます。
E型肝炎ウイルス
熱に弱いので中心までよく加熱することで食中毒を防げます。
加熱が不十分な豚などの肉や内臓が原因になります。
十分に火が通っていない豚の肉やレバー、生食などは避けましょう。
激しい症状がみられることはほとんどありません。
ですが、感染から6週間ほどたつと、皮膚が黄色くなったり、発熱する場合があります。
参考:農林水産省
あまり知られていない食中毒の原因菌
ボツリヌス菌
この菌がつくる毒素は非常に強力な神経毒です。
ですが、熱に弱いので、十分に加熱することが有効です。
加熱処理が十分に行われていない加工食品や、密閉された容器内での保存中に繁殖することが多いです。
具体的には、缶詰、瓶詰、真空パック食品、スモークサーモン、蜂蜜、燻製肉などが代表例に挙げられます。
摂取後18~36時間で発症するといわれています。
初期症状としては、まぶたが下がる・口が乾く・ものをうまくのみ込めない・声のかすれ・発熱などが現れます。
重症化すると、呼吸困難や肺炎を引き起こすことがあり、場合によっては死に至ることもあります。
ボツリヌス菌の中毒を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 加熱処理が十分に行われた食品のみを摂取する
- 缶詰や瓶詰、真空パック食品などの賞味期限や消費期限を確認し、過ぎたものは食べない
- 蜂蜜を与える場合は、1歳未満の乳児には与えない
- 燻製肉を食べる場合は、温度管理に注意する
ボツリヌス菌の中毒が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な処置を受けましょう。
参考:日本細菌学雑誌
ストレプトコッカス菌
この菌は、人間や動物の喉や皮膚、腸内などに広く存在しています。
健康な人の体内にも生息するものがありますが、一部の株が病原性を持ち、さまざまな病気の原因となることがあります。
代表的な病気としては、鏡検査陽性咽頭炎・肺炎・皮膚感染症・中耳炎などがあります。
発症時間は、病気の種類によって異なります。
ですが、一般的には感染した後24時間以内に症状が現れることが多いとされています。
治療には抗生物質が使用されます。
でも、抗生物質が効かない株も存在するため、感染予防が重要とされています。
感染予防のためには、
- 手洗い
- 咳エチケット
- 食品の適切な調理や保存
- 感染リスクの高い場所や人との接触を避ける
などが大切です。
参考:日本ハンセン病学会雑誌
食中毒 種類 症状 まとめ
ひとくちに「食中毒」「食あたり」と言っても、さまざまな原因が存在しました。
細菌やウイルスに、あまりに過敏になるのもよくないかもしれません。
でも、手を洗う、台所を清潔に保つ、食材をしっかり管理・加熱するなど、基本的なことを守って、食中毒の予防をするといいですね。
私は「蜂蜜を1歳以下の赤ちゃんに与えてはいけない。」という話は聞いたことがありました。
でも、その原因がボツリヌス菌で、強い神経毒だということは今回はじめて知りました。
避けた方が良い料理や食材なども、頭に入れておくと安心ですね。
↓ 食中毒リスクの高い食べ物に関連する他の記事はこちらです。